知覚するインターネット

「hen-na souchi」

11月30日と12月1日の二日間、情報デザイン学科コミュニケーションデザインコース一期生の卒業制作最終審査が行われていたので少しだけ審査の様子を見に行ってきました。
学生の最終プレゼンを見ていると、1回生の頃から一貫したテーマで作品制作や研究を続けてきた学生、テーマは変われどその表現手法を極めてきた学生、逆にテーマもメディアも全然変わっておまけに姿さえ記憶とよく一致しない(笑)学生などなどさまざまで、それぞれどんなふうに4年間を歩んできたのか、これからどんな社会人になっていくのかを想像しているとワクワクしました(当の学生は卒業できるかどうかの瀬戸際の緊張状態なので、わたしはだいぶ不謹慎な人です笑)。
さて、ほとんどの作品がブックデザインやエディトリアルデザイン、インラストレーションなどの「制作物」であるなか、唯一「製作物」として見ることができ、テーマ、コンセプト、モノとしてのデザイン、どれをとってもかっこいい作品だなぁと、ドキドキワクワクさせられたものがあります。(学生からさらっと製作よもやま話を聞きましたが、きちんと過程やプレゼンテーションの内容を踏まえているわけではないので現段階でのわたしの印象になってしまいますが、感動がまだ新鮮なうちに書いておこうと思います。)
彼の卒業制作のコンセプトは「Perceived Internet」(知覚するインターネット)で、インターネット上にあふれるさまざまな情報を「知る」という行為に、ある(変な)装置を通して擬似的に見たり聞いたり触ったりするプロセスをかませることで、インターネット上にあふれる情報を「知覚」できるようにするというものです。(ここでいう「知覚」とは、「人間の持っている感覚をして確かに感じとる」ということを意味しているのだと思っています。)
卒業制作では、その「知覚」のためのさまざまな「hen-na souchi」(変な装置)を製作するというプロジェクトを進めているそうです。
残念ながら(肝心の)最終審査の様子を見ることができなかったため、現状でどんな変な装置に仕上がっているのか体験することができなかったのですが、話しによれば、世界中のニュースを拾い集めてきてそのソースをモールス信号に置き換え、それを変な装置についている電鍵がカタカタと打ち、さらに装置の液晶にはそのニュースに関連する映像が流れる(このソースはYouTubeなどでしょう)というもの。もはや動いていないところですが、写真を撮らせてもらいました。
写真にある4つの変な装置が、世界中のニュースを拾ってはその順にカタカタカタ、、、、と鳴りだし、ちいさな液晶にニュース映像が映し出されることで、「世界中で次から次へと事が起っている」さまを「カタカタ」という音と映し出される映像、電鍵の振れ幅で「知覚」します。
「わたしたちデザイナーが、これからのウェブコミュニケーションデザインにおいて取り組むべき問題とは何でしょうか。」この授業のシラバスに書いたことのひとつの答えが、ここに芽吹いてるなぁと感じました。
ちなみに「hen-na souchi」の構想やプロトタイプは他にも(世界各地の気象情報をそれぞれ光の強さに変換し、植物の育ち具合で各地の気象状況を再現する装置、とか)何種類かあるけれども、今回の卒業制作展で展示するものはこの一種類になるとのことでした。近々このプロジェクトのウェブサイトを立ち上げるそうなので、そこでもう少し詳しい内容が明らかになると思います。なんでモールス信号+映像なんだろう、とか。
ともかく、来年の3月頃に京都市美術館で開催予定の卒業制作展で実際に作品を見て、「知覚するインターネット」を体感してみたいと思います。楽しみ。*1

*1:しかし、美術館でインターネットを知覚する体験、って、、いま書いてみて改めておかしな状況だな、と笑。