コンテンツをつくる難しさ

ウェブは、学ぶ人を裏切らない


今日の授業は「課題1:○○フォトグラフ」の合評でした。残念ながら合評というよりは(時間がかぎられていることもあり)発表会のようなものになってしまいましたが、初めて同じ条件のもとウェブページを作成するという課題に取り組んだクラス(ほぼ)全員の成果物をいっせいに見ることができたこと、また自分の制作物のテーマやコンセプトを自分なりに言葉に表して発表するということをひとりひとりにしてもらうことができたのは収穫だったと思っています。
みなさんの発表に対して指摘したものもありましたが、それはその指摘点に該当する成果物が他にも多くあったからで、なるべく現段階で見ることのできる工夫されている点や効果的だと思う点を挙げるように努めてコメントしたつもりです。なぜなら、はじめてウェブページを作成した人も多くいた中「とにかくやってみた」その結果はまずはやっぱり評価したいと思ったからです。
こんなことになるはずじゃなかったのに、時間が全然足りなかった、この状態でみんなの前で見せるなんて恥ずかしい、、、そういうもどかしい思いは何人もの人から充分伝わってきました(笑)が、そういう思いを胸に次の課題に取り組んでもらえたらと思います。
制作したページのテーマやコンセプト、想定する検索キーワードなどを記してもらったシートを授業の最後に回収しました。そこに書き足してもらった「おもしろいと思ったウェブページ」を挙げてもらいましたが、その内容を見ているとやはりだいたいみんなが「おもいしろい」「いい」と思うページは同じなんですよね。
その「おもいしろい」「いい」の理由はいくつも考えられますが、最低限共通していえる点はふたつあると思います。ひとつは、この課題内容を正しく理解し、制作条件にある「テーマ」というものをどう捉えるかをちゃんと考えられていること。もうひとつは、課題に取り組んだ時間です。あたりまえのことを列記しています(この授業に限らず、どんな課題についてもそのはずです)が、ことウェブについては、どのくらい時間を費やしたかという点は他のものに比べ比重が大きいと思います。例えば何も専門的なことを知らなくてもセンスがあればある程度上手に絵を描いたり歌をうたえたりしますが、ウェブはまずはじめに「知る」ことをしなければページやサイトを制作することができないからです。基本、勉強です。だから(逆に)やればやっただけ身につきますし、できることや表現の幅も広がります。これはセンス云々の話しではない部分。(つきつめていけば、マークアップにも当然センスが求められる側面もあるんだけど、絵を描いたり歌をうたったりすることと比べると、という意味で。)
けれども、ここは芸大で(そもそも芸大の情報デザイン学科でやるウェブの授業っていう位置づけがわりと特異だと思っていますが汗)、センスや感覚をとっても大切にして「表現する」ことを目指して大学に入った人がほとんどだと思うので、「知る」が大前提のウェブ制作においてでも、最初の課題はなにか自分のセンスや感性を生かして「表現する」という要素も含んだ楽しく取り組めるものにできれば、という考えからこの課題を設定しました。
ただやっぱり、コンテンツそのものを考える(自分でテーマを設定し、写真という手段で素材を集め情報編集しページにする)というのは、まだ難しかったかなぁというのが率直な感想。ウェブに公開されているおもしろいコンテンツってどういうものなのか。それにはなぜ明確なテーマが必要なのか。そこのところをもう少し掘り下げてもらえたらと思いました。10月末の授業で課題発表をし、ほぼ2週間の休みをはさんでHTMLやCSSの授業を3回行ったので、実質6週間この課題をやっていたわけで、その中でテーマを設定すること、素材として使用する写真を撮影してくる時間は充分あったはずだと思いますが、合評で「テーマは特にありません」と正々堂々発表していた人が思いのほか多いのには正直参ってしまいました!授業サイトに掲載している「制作条件」を読み、テーマを設けるように授業でも言ったのを踏まえた上で、というのことだったのでしょうか。(ひとりひとりに突っ込むのはやめておきましたが、「A4横書きを出力してレポート提出」と指定したはずがスケッチブックに手書きで提出された気分でした。orz...)*1
ウェブは受動的でいるとあっという間にチンプンカンプンになってしまうかわりに、能動的にコツコツ学ぶ人を裏切りません。
今日の発表でみんなの「おもいしろい」「いい」を一番多く獲得した019_xcag.さんは今日の授業日記でこんなことを書いてくれていました。

今回作業してみて、webデザインでもラフを描くことが本当に大切なんだと、感じました!最初のだっさーーーーーいデザインの方は、イメージはありながらもラフは描かずに見切り発車的な感じでとりあえず触っていたので・・・・・ひどかったですね。笑
授業で先生がラフを描いた方がいいとおっしゃっていたので描いてみたら、!ほんと、全然イメージが変わります。こうしたい!とゆうのも固まってきて、楽しんで作れました。

これはひとつの例ですが、まずやってみて、「?」がうかんで、授業中にわたしが話す多くのことをできるだけ拾って、「まずはラフを描く」ことを実践して「?」が解消されるという彼女のコツコツと取り組む姿勢が、今日発表してくれたウェブページから伝わってくるようです。
今日ははじめての合評を経ての所感をつらつら書き留めておきます。中盤やや辛口なことも書きましたが、これを読んで何か感じてくれたひとは最終締め切りの土曜日正午までにぜひブラッシュアップしてください。
//ニャンドロイド:ともかく課題制作おつかれさま。あったかくしておやすみににゃって。

*1:追記:11月の授業についてはとにかく内容についていくだけでいっぱいいっぱいで「テーマ」とか考えてる余裕なぞなかった、というような内容で授業日記を書いていた人については考慮していますが。